俺達に出来ない事を平然とやっちゃう
「見ろー!離婚届拾っちゃったぜ」悪友の堅坊が、ヒラヒラ紙切れを見せびらかす。「わー、どうしたんそれ」ぐへへと笑い、「親父の部屋からこっそりな。凄いだろ!」
「そうだね!さすが、俺達に出来ない事を平然とやってのける。そこに痺れ、憧れちゃう!」そう拍手を入れる。
自慢げに高笑いを浮かべ、「で、これがどんだけ重要か知ってるだろ?」えっとー、何となく凄そうだとは思うけど、意味を知るには、僕らはまだ未熟。
小学2年生なんだもん。「けっ、誰も知らねーのか。でもこれすっげぇ力あるって、兄ちゃんが言う。仲を引き裂く、すんげぇパワーを持つ」こんな紙切れが。
「お前にも使おうか?」そうじりじり迫る堅坊。刹那、後頭部へ一撃。「あっ!」離婚届も奪われる。そう、彼の父親登場。
「これをどうした?」鋭い眼光で息子を睨む。さっきまでの勢い失せ、顔を伏せた。「子供が持つ物じゃありません」そう言い残し、背を向けた。